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にゃんにゃんぴっぴにゃんぴっぴ、なの

Shizuku
誰がどう考えてもこれは『究極超人あ~る』ネタだよなあ、ということは3000万人くらいの人が既に指摘してるんじゃないかと思いますが、『おまもりひまり』のED曲「BEAM my BEAM」の小道具つきの静水久を描いてみました。なんとまあ確信犯的にダメな作品であることよ、と、詠嘆調で語ってしまいたくなるほどにすがすがしくもダメな作品です。ですがそこが良いのです(笑
#CMがまたものすごくダメな出来で、逆にツボに入ってしまいました(笑

『おまもりひまり』は、妖怪を退けるシャーマンである「鬼斬り役」を主人公とし、過去の因縁によってその「護り刀」の立場に回った猫の妖怪をヒロインとする、所謂「伝奇もの」であり、主人公側に相対する妖怪には酒呑童子と玉藻前が配される、大変豪華な作品である。しかし、一話でも実際に鑑賞した経験があれば直ちに了解されることであるが、『おまもりひまり』における「伝奇もの」の構成要素たる一連の超自然的な存在や現象には、作中における最低限度の因果関係と整合性こそ保たれている(少なくとも、保とうとしている)ものの、例えば、それぞれの妖怪がどのような由来を持ち、どのような自然現象との類比性を喚起するのか、といったような、作品の外部における因果関係や整合性には、まったくといって良いほど関心が払われていない。
とはいえ、『おまもりひまり』が際立って歴史的なパースペクティヴを欠いているということを指摘したいわけでは勿論ない。ここで指摘したいのは、『おまもりひまり』という作品は、「伝奇もの」という物語構造を採用していながら、「伝奇もの」が喚起しようとしてきた感覚、例えば、歴史的な因縁を持った前近代的(呪術的)な感性や、そのようなものに相対したときに人類が感じてきた畏怖といった感覚をを呼び起こしたいわけでは無いようである、ということである。『おまもりひまり』における「妖怪」は、いわば、「比較不可能な価値」を表象する<他者>であり、物語の関心は、<他者>との共存のために奮われる<暴力>が是認されるべきかどうか、というテーマにもっぱら向けられる(これはこれで古典的な哲学的命題である)。言い換えるならば、『おまもりひまり』においては、「妖怪」は特段「あやかし」である必要は無いのである・・・そして、これも言うまでもないことだが、近時発表される「伝奇もの」を想起させる舞台装置を備えた作品には、ほぼ同じような構造が例外なく看取されるようである(『空の境界』など)。
このような、いわば「ガジェット」としての超自然的なものの導入は、同様にSFやファンタジーにおいても進行している現象である(人口に膾炙した例を挙げるならば、最近改めて原作を読んでみたのだが、『とある魔術の禁書目録』においては、<魔術>も<超能力>もそれ自体では固有の意味を持つものではなく、ストーリーテリングにおいて必要であるという理由で導入された、いわば書割のようなものでしかない)・・・このこと自体はおそらく、特段非難されるべき問題ではなかろう。ただ、間接的には、これらの要素が単なる「ガジェット」として、いわば書割のように消費されることによって、伝奇やSF、ファンタジーといったジャンルについて、それそのものとして固有の感覚を喚起するような作品が再生産される契機がどんどんと失われていくであろうことは、憂うべきことである。
しかし、翻って考えるならば、『おまもりひまり』に見られるような、いわば確信犯的な「底の浅さ」は、伝奇ものやSF、ファンタジーといった固有の文法があることを十分に認識した上で、敢えてその約束事(コード)を攪乱しようとする、軽やかな「逃避」の身振りなのかもしれない・・・少なくとも、ウィキペディアレベルの知識でこの種のジャンルの作品を世に問う、という試みについては、そう想像する以外には私には理解の術が無いのである。

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Comments

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>文月さん

コメント有難うございます。なるほど、設定がスカスカなものでもついてくるファンをふるいにかけるためのシステム、というのは首肯させられます。確かに、設定について語ることがかえって非難される、という風潮もあるように思われますね。

ただまあ、オールドファンとしては、この風潮は、「伝奇もの」とかSF、更には勿論、歴史やミリタリについても、そのジャンルに関連する市場を大局的には縮小させていくのだろうなあ、とは思います…そこで例えば、ミリタリにおける『MCあくしず』みたいな変化球が出てくるんだろうと思うのですが(いろいろ批判もありますが、私はこの『MCあくしず』の試みは決して嫌いではないのです(笑))。

Posted by: 鏡塵 | March 23, 2010 12:53 AM

>おがわさま

こちらこそお久しぶりです。確かに『人類ネコ科』もちょうど同じ時期ですね。80年代的表象、ということなのかもしれません。

それにしても、みず谷なおきの死去は早すぎましたね…。

Posted by: 鏡塵 | March 23, 2010 12:48 AM

お久しぶりです。
この小道具を見ると、あ~るもですが人類ネコ科を思い出してしまいます。

Posted by: おがわ | March 21, 2010 11:42 PM

いい加減な書割というのは、伝奇系に限った事ではなく、歴史系やミリタリ系にも見られるので一般的な傾向ではないかと?

面白いのは、ファン側は、そのいい加減さをマイナスに感じていない事ですね。
用語や背景、小道具に意味を見出していない……というか、そんなものはどうでも良いもので、由来に付いて語る人を見ると「これだから○○ヲタは」と侮蔑の対応を見せる方が多かったり。

これは、いわゆる「信者化」という流れの一環にあるのではないかと思われます。
信者に取っては、その作品内で全てが完結しており、それが他で使われていても意味は持たないと。
そのノリに付いていけない連中(=信者適性の無い人)を峻別するために、わざとやっているのではないかとも考えたり。

作者(スタッフ)が一生懸命資料を調べて、作中に反映させるような作品には、そういうファンが付きますし、頭の中だけで完結するような作品にも、そういうファンが付く。
後者のファンは操作し易く、かつお金を落としやすいので商業作品でこの傾向は流行ると。

Posted by: 文月文 | March 21, 2010 04:55 PM

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Tracked on May 27, 2010 05:30 PM

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