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無駄に制約の多い自分ルール

Rukuha
・・・ホントにそういう意味があるのかどうか浅学にして知らないのですが(笑、むねきち『まーぶるインスパイア』からるくは。キャラ紹介が「うなうな」とか「みりみり」とか「しとしと」とか「ゆるゆる」とか書いてあるだけで、全く何の意味もなしていないのも脅威なのですが、何よりも脅威なのは、私にはこのマンガの面白さが全く分からないということです(笑
#そういうマンガの2巻を買うなよ、というツッコミはさておくとして(笑

いわゆる「中二病」という言葉は、ネットスラングとしてかなり広く流通しているように思われるが、それがネットスラングであることにまさしく象徴されるように、近代的な意味でのアイデンティティ形成に伴う悩みとは若干位相を異にしている概念のようである。
古典的な市民社会像の構成要素である「個人/市民」は、市場において自らの財を自律した意思に基づいて流通させることについての負荷(責任)を担うことが可能な主体でなければならないことは言うまでも無い。そのような理念的市民社会は、観念的な虚構ではあるけれども、「近代」という価値には不可欠の有意な虚構であると言えるだろう。そして、「近代」の端的な単位の一つである「国民国家」は、このような意思主体を鍛造するシステム(紀律訓練)として「義務教育」を設定している。現代日本社会においては、「中学二年生」という年齢は、あと1年で義務教育を終え、(少なくとも理論上は)自律した個人として、市場社会において自らの財を流通させる責任主体となることを求められる年代だということになる。
しかし、市場の姿が古典的で素朴なものであればともかく(そもそも、「古典的」な市場自体も、市民社会と同じく理念型でしかないわけだが)、近代以降の社会における市場は、財貨に還元される富のコードにより規定されるシステムによってのみ構成されているのではなく、富とは異なるさまざまなコードによる複数のシステムと複合的に連動しながら構築されているものと捉えるべきであろう。富の増加/減少というコード以外の価値や理念を前提したとき、その複合的「市場」においてアクターとして振舞うためには、古典的な意味での所有主体という「自己」のありかただけでそれを統御するのは難しいように思われる。だからこそ、市場経済が発達するにつれ、所謂「個人主義」における「自我」の形成が問題化されるのであろう・・・そこで市場に投下される「財」が、実際には「生産力」に置き換えられた生物体としての「自己」の時間であればなおさらである。
日本において(そもそもこの「日本」という呼称自体がナショナル・アイデンティティの産物であることは言うまでも無い)、所謂「自我」の問題が前景化したのはおおよそ日露戦争後くらいであるとされるが(藤村操の投身自殺が象徴的である)、これが「国民国家」形成とリンクしているのは言うまでもない。すなわち、「国民国家」における「義務教育」を終えることは、財の処分主体という古典的な「自己」意識を超える統合としての「自我」の形成という問題とリンクしており、だからこそアイデンティティ形成に伴う「若者に特有の悩み」が発生するのであろう。
ところで、日本におけるいわゆる「戦後民主主義」的価値は、戦前/戦後の断絶を強調する必要があったこともあり、ある意味非常に理念的なものである(キャロル・グラック『歴史で考える』)。戦後という価値の中で運営される国家システムの一部としての教育においても、「自我」の価値が高めに見積もられていたことは、義務教育における「個性」の重視(ゆとり教育!)の方針が一時期採られたことにも現れている。しかしそもそも、近代以降の複雑なシステムにおいて交換される複数のコードを統御する「自我」の形成は、それが虚構的であればあるほど、自己言及性を強める営為になりはしないか。「自分のことは自分で決める」ことが容易いことだと断言できるほど、現代日本社会のシステムは単純ではないし、その複雑性は、ネットワークによってますます増大していると考えざるをえない・・・義務教育による「紀律訓練」ではその複雑性に対応できない、というのが、『まーぶるインスパイア』に見られるような「中二病」の構造的問題なのではなかろうか。

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