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確かに略せば「もえたん」ですが(せっかくだから有効活用・4)

Kirara_1
※おことわり※
このブログには、以下の作品のネタバレが若干含まれています。未読の方は読んでからどうぞ。
竹本健治『キララ、探偵す。』
コナン・ドイル「銀星号事件」
G・K・チェスタトン「見えない男」

最近は「萌える探偵小説」なるジャンルがあるようなので・・・そんなこと言うなら、「萌えるタンガニーカ湖」だって「萌える担保物権」だって「萌える胆大小心録」だって「萌える単側波帯通信」だって「もえたん」ですが(←以上、広辞苑を座右においての戯言(笑))。一体何が起こってしまったのかと思いながら手にとってしまった『キララ、探偵す』のヒロインのキララを「二人のポーズ」から。
竹本健治なんだからきっと何かやってくれるかな、と思いながら読んだのですが、特に何事もおこらなかったので拍子抜けでした(キララが不審者を取り押さえるときの描写に使われた「ストラングル・ホールドに似ているが違う」という、一般人にはさっぱり伝わらない比喩が可笑しかったくらい)。『ウロボロスの純正音律』を買えってことでしょうか。
#ベタな帯のセンスはちょっと可笑しいのですけど(笑)。しかし本当に「史上初の美少女メイドミステリー」なんですかね?『女王陛下のメイド探偵ジェイン』シリーズは・・・あ、「美少女」じゃないってコトか(笑
##どうでも良いですが、氏はロボット三原則を組み替えて「ロボットは法を守らなければならない」というところから説き起こし、この中に「ロボットは所有者の財産なので、それを損壊する行為はこれに反する」ため、この中にアシモフ版三原則第3条が含まれる、と述べていますが・・・所有権の全面性を念頭に置いた議論なんでしょうけど、法律学の立場からはちょっと・・・(笑

有名な「ヴァン・ダインの二十則」には、犯人が「端役の使用人等」であるのは安易なので避けよ、との一項がある。このことは、20世紀初頭の物語作法では、そもそもメイドが「端役」以上の存在として描かれることはむしろ希であった、ということを示すと同時に、少なくとも都市において働くメイドには、使用者側の人間からは「透明」でなければならないという特性があったことを反映していよう。
以前かえんじゅさまのところの同人誌に寄稿した雑文でも述べたことがあるが、この「透明」さは重層性を帯びているように思われる・・・まず第一に、メイドは物理的に、使用人の目に付かないように行動するという空間的・時間的な制約を課されている。例えば、家女中は使用者側の家族が起き出す前に朝の洗顔用の水や暖房用の石炭を準備しなければならなかったことや、バックヤードに専用の通路があったりすることなどがこのレベルの問題である。これらの点は、「フェア」なミステリにおいて重視されるアリバイや「隠し通路」などの厳密さには反する要素になり得るだろう。
しかし、ミステリにおいてより重要なのは、心理的な「透明」さである。同時代的な文献においてはしばしば、「召使は人間であって荷役馬ではない」ことが強調されたというが(Alan Ereira, The People's England, Routledge & kegan Paul, London, 1981, p.55)、このことは単にメイドの労働条件の劣悪さを示すだけではなく、そもそもメイドが「人間」扱いされていなかった、ということを示してもいるだろう。
#この比喩に従うと、メイドが犯人のミステリは「銀星号事件」並みの意外さ、ということになる(笑
その後家電製品に代替される「家政」の構成要素としてのみ認識されていたのであるとすれば、メイドは、例えばある部屋に「出入りした人間は誰もいなかった」という限定をいともやすやすと免れることが出来る・・・何故なら、彼女らはそもそも「人間」ではないのだから。このような「透明」さについてよく引き合いに出されるチェスタトンの「見えない男」よりも、構造的にはその「透明」さはより高いようにも思われる。
無論、現在「ヴァン・ダインの二十則」に則るようなクラシカルなミステリが書かれることはほとんど考えられないが、それでも、かつてメイドが備えていたであろう「透明」さから考えると、探偵役に廻るのはいささか反則気味ではある・・・もっとも、キララは作中でさっぱりメイドらしいことをしないので、「僕たちにはメイドが必要だ。」という帯が想定する「メイド」とは何なのか、その前提自体がもう違うのかもしれないが。

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