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「脱生物時代」の到来まであと25年だとか

solty
「記憶をなくした機械少女」と「ワケありの賞金稼ぎ」の話、というだけでもう既にストーリーラインは見えておるのですが、そこに「これもワケありの少女盗賊」とか「未亡人情報屋&マセた娘」とか「なんとなくアウトローに好意的な美少女機動部隊」とか、これでもか、とギミックを盛り込んで鋭意進行中の『Solty Rei』。それでも、アンドロイドものに無条件にプラス修正がついてしまう私としては、やっぱり見てしまいます・・・すみません、「天然ボケの怪力娘」に弱いのですよ私(笑
#「・・・DVDってなんですか?」とか、製作サイドも狙ってやっているだけにとても悔しい(笑
##なんか、絵だけ見るとペガサス流星拳みたいだ(笑
###そういや、確かに「奥義!」ってつけてから叫ぶとなんでも必殺技っぽく聞こえます(小箱とたん『スケッチブック』)。「奥義!デイ・シムプトメトロギイ・デル・クラインヒルン・エルクランゲン!」とか(←『小脳疾患の徴候学』の独語原題。『黒死館殺人事件』から無作為抽出(笑))。
先日、大森望のイベントに合わせて上京してきた旧友のかとうさまと会って、久々に飲みながらSF談義に花を咲かせることが出来た。私はSF読みとしてはヘタレの部類だが、ツワモノのかとうさまは昨今のSF事情に詳しく、いろいろと有益な情報を仕入れることが出来たのだが(どうして突然<新しき太陽の書>が復刊されたのか、とか)、その中で私が関心を覚えたのは、世の中には「SFの書き手と読み手は、常に科学技術の発展をフォローし続け、互いに真剣勝負をしなければいけない」という綱領を掲げる<純SF主義者>が存在する、というエピソードであった。
確かに、SFがSFであるためには、つまり、ファンタジーやミステリやホラーや純文学から独立した固有の表現形態であるためには、このような姿勢は必要であるのかもしれない。なおかつ、比較的万人に評価されるSF作家は、読者が作品に触れた際に「科学」として整合的に想像可能な範疇について自覚的であるように思える。イーガンが評価されるのはこのあたりのバランス感覚の良さゆえではないか、とも思う。逆にバラードら「ニューウェーヴ」の担い手たちは、おそらく意図的にこの想像可能性を排除しているのであろう。ロジェ・カイヨワはSFについて「それ以前の非現実的な物語を継承し、全く同じ機能を果たしている」として、「理論と技術の進歩に対して恐怖を覚えた時代の苦悩を反映している」と指摘する(『妖精物語からSFへ』)。仮に<純SF>が作者/読者の「科学」的想像可能性をその担保として成立しているのであれば、ここにはパラドクスが生じかねない。クラーク流に言うなら、SFは「科学」と「魔術」の危ういバランスの上に成立している、相当際どい文学領域だと言えるだろう。
#『ディアスポラ』の読後感から私は(多分に個人的な思い入れの強さから)山田正紀の<神獣聖戦>シリーズを思い起こしたのだが、山田正紀は科学用語を「利用」しながらも、整合的に配置することはしないような印象を持つ。例えば、<非対称飛行>によって背面世界を跳躍するために物理実体を捨てた「狂人=鏡人」の描写には、<コニシ>ポリスの市民たちのような「科学的」リアリティは備わっていない。
ところで、ここで言う「科学」は、実は自然科学だけにとどまるものではない・・・現在の「自然科学」はもはや狭義の定義の中に留まっておらず、認識論や記号論、コミュニケーション理論などのさまざまな領域との相互乗り入れが盛んに行われる分野となっている。ハックスリーの『すばらしき新世界』やドフォントネーの『カシオペアのΨ』など、かつて「ユートピア小説」と言われた作品の多くが社会風刺の側面を備えていることからも判るように、実はSFは、社会科学と親和性が高いジャンルである。クラーク的定義による<純SF>の隘路を抜け出すためには、「科学」の定義自体を拡張するのも一つの方策ではないだろうか。
#イーガンもサイードの『文化と帝国主義』とか参照してるみたいだし(笑

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