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<ドメスティック>な暴力

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この前の日曜日に『ガキの使い』を見ていたら、「松本さんがかつてやっていた『ドメスティックパン屋』とはどんな店だったのか」という質問に松本が答えていた。松本の当初の答えは「客が入ってきたら待ち伏せしてフランスパンで殴る」といった類のものだったが、途中で「いやドメスティックの意味わからんし」と、客に(空気に?)笑いを委ねる方向を取ったのが興味深かった。おそらく客席の多くが、「ドメスティック」の意味が少なくとも松本が当初ギャグに用いた文脈ではないのではないか、と感じている空気になったということなのだろう。笑いにおいて間主観性を重視する松本(と私は理解しているのだが)にとっても、ライブとは空気感なのだなあ、と思った瞬間であった。『一人ごっつ』はブラウン管を介してしか成立し得ない笑いの形式だったのかもしれない。
しかしさらに興味深かったのは、客席から「家庭内」という訳語が提供されたことである。松本の当初のイメージからも理解されるように、日本人にとって「ドメスティック」という英語は「家庭内暴力」とかなり緊密に結びついて浸透しているようなのである。周知のように、domesticとはラテン語のdomesから来る言葉で、「家庭」「家政」などを意味する言葉であるが、私にとっては何よりも、この形容詞はservantと結びついて、正確な意味での「メイドさん」を表現するために欠かせない語である(maidは尾辞として用いられることが多いのは言うまでもない)。まあそもそもが「暴力」とは結びつきにくいコトバのはずなのだが、これが起きるのが悲しい現実ということなのであろう。しかしDVから離れるとしても、メイドさんには最近どういうわけか「暴力」的なオーナメント?と共に描かれる確率が高いようにも思う。「ミシン台にこうもり傘」の顰に倣って、取り立てて意味を求めないほうがよいのかもしれないが、生活空間を重畳的に持つ、ということが「護衛」という連想を働かせるのだろうか。この間まで見ていた『MADLAX』のエリノアもそうだったし。てなわけで『ジオブリーダーズ』を手元に置きながらちょっと描いてみたのだが・・・うーむ、もっとゴツい武器なら絵的にはありかも、というのが正直な感想ですな。ああ、それで『スパイラルなみ』には共感できたのか。納得。
ちなみに「家庭内」という訳語を示された松本は「・・・おかんのパン屋、ってボケようがないやん」と言っていた。ある意味<ドメスティック>を判っている回答である(笑)。

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Comments

一般家庭にメイドさん、ってのは、とりわけ現代日本で展開すれば確かにメイドさんの右腕にドリル、ってくらいの違和感はあるように思うのですが(笑)。
なお、もう一つの選択肢として、ネコミミ話が終わったら『すぱすぱ』に絡めて火器について語る予定です。いやショットガンはやっぱりクトゥルフでしょう(笑)。

Posted by: 鏡塵 | November 06, 2004 at 12:40 AM

えーと、それはつまり一般家庭にメイドさんがいると、暴力的なまでに魅力的ということで、よろしいのでしょうか(笑)?

Posted by: YOICHI | October 29, 2004 at 11:56 PM

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